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読書 260 がん消滅の罠 著者 岩木 一麻
2018年02月16日 10:03 AM
「呼吸器内科の夏目医師は生命保険会社勤務の友人からある指摘を受ける。夏目が余命半年の宣告をした肺腺がん患者がリビングニーズ特約で生前給付を受け取った後も生存、病巣が消え去っているという。同様の保険金支払いが続けて起きており、今回で四例目。不審に感じた夏目は同僚の羽島と調査を始める。連続する奇妙ながんの消滅の謎。がん治療の世界で何が起こっているのだろうか。」
3人に一人はがんになるという時代背景をもとに書かれた作品。
医療ミステリーと言われている本も何冊か読んできましたが、今までの中で一番インパクトがありました。
がんにまつわる生命保険、医療、政治、経済原理などが複雑に絡み合う世界をこれでもかとぐいぐいと提示し、最後の一行まで引っ張って行ってくれます。
「幸福だけを至上とする社会では苦悩や不安は一種の病気として扱われます。今の社会では大病を患った人や鬱病になった人は不幸にして社会のレールから外れてしまった人であると見做されています。昔は違いました。苦悩や不安、死と滅びは日本文化に宿命として取り込まれていたのです。」という言葉が出てきます。
憂鬱な気持ちが人間の独創性を増加させる。
・・・ん~、何とも奥が深い、深すぎる言葉です。
著者は国立がんセンター、放射線医学研究所に従事していたことがあり、理論の裏付けをもとにとても説得力のあるストーリーが展開されています。
がんに関しては巷では様々な情報が飛び交っていますが、一度この本を読むと目線が変わるかも知れません。
一気読みでした。
読めば分かります。(院長)
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