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読書 319 影裏 著者 沼田 真佑
2019年11月02日 10:04 AM
「会社の出向で移り住んだ岩手で、ただ一人心を許したのが同僚の日浅だった。ともに釣りをした日々に募る追憶と寂しさ。いつしか疎遠になった男のもうひとつの顔に、『あの日』以降触れることになるのだが・・・。芥川賞を受賞したデビュー作に、単行本未収録の二篇を収録した、暗い燦きを放つ三つの作品。」
書店の平積みにあり、タイトルが気になり読んでみました。
“影”の“裏”って何だろう。
読んでみて、分かるような気がしました。
芥川賞受賞の表題作「影裏」(“えいり”と読みます)、「廃屋の眺め」、「陶片」の3作品の短編集。
「影裏」は、東日本大震災がテーマのお話でした。
喪失感というのでしょうか。
とてもやるせない気持ちにさせられます。
でも、現実に起こっているんだろうなという、登場人物の行動。
2011年以降、、震災をテーマにした作品が多く書かれましたが、震災直後のような急性期の内容ではなく、心の中で熟成されたストーリーになっています。
「廃屋の眺め」、は、人間が根本的に抱えている闇の部分が、静かに描かれています。
本能と理性のバランスを考えてしまいます。
「陶片」も同じように、また違った本能、常識の基準というものを考えさせられます。
短編ながらも、それぞれがとても深みのある小説集でした(院長)。
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