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読書 50 とまっていた時計がまたうごきはじめた 著者 細野 晴臣 聞き手 鈴木 惣一朗
2015年01月17日 8:00 AM
「懐かしい音楽の話は、お笑い、隕石、演歌、原発、敬愛する友の死などを経巡り、また音楽の話へと戻ってくる。震災以降のもやもやを喫茶店でつれづれに語り明かした、3年にわたる雑談ドキュメント。」
はっぴいえんどやYMOでおなじみの 細野 晴臣氏の話を、鈴木 惣一朗氏が聞き役に回り語り合う対談集です。
まえがきは
「ここに納められた対話というか雑談は、2012年7月からはじまった。
東北の大震災から1年有余という、まだ生々しい時期でもあり、話す内容もそんな話題が多い。
特に今に至るまで影響が続く放射線や、福島の原発の話は避けて通れなかった。
当時は東京の水道に含まれる放射線量も気にしていたのだ。
ほかにも話題は多岐にわたり、芸人談義などもある。
ぼくがお笑い好きということで、そういう話題を振られたのだろうが、鋭い質問にオタオタと答えていく自分が恥ずかしい。
そういうなかに所々、音楽の専門的な話がちりばめられている。
音楽を職業にしているふたりの対話なので、専門用語などが出てくるのは致し方ない。
ぼくは日ごろから聞かれたことには答えることにしているのだが、それはつまり、聞く人の心情を反映させるということに他ならない。
そういう意味でこの対話の主人公は、質問者である 鈴木 惣一朗であることは間違いない。
熊さんが聞いてご隠居が答える、という落語の図である。
ご隠居が熊さんの質問に戸惑い、無理矢理答えるというのが面白いわけで、ご隠居が面白いわけではないのだ。
その点をここで念を押し、強調しておきたい。
校正のために改めて読んでみると、聞かれたことにホイホイと答える自分に呆れるばかりだが、そのせいで校正には気を遣う箇所も多く、時間がかかってしまった。
校正の前、粗編集をした編集者に「問題はなかった?」と聞くと、ほとんどありませんとのことだったが、そんなことはない。
乱暴な言葉遣いや実名の裏話などなど、問題が山積みだったのだ。
なんとか体裁を整えたものの、話の流れでそのまま残した箇所も多い。だが、ぼくや鈴木くんの音楽を好んでくれている読者なら、楽しんでもらえるだろう。
そう思いつつも、多少の不安を抱えたまま出版されるという次第になった。
ぼくはこう見えても気が小さいのである。意思は強いが気が弱い。
心は広いのに部屋が狭い。
ここで小心者のご隠居がつぶやく。すべては「熊さん」のせいだと思えば気も大きくなるというものだ。」
です。
科学者や経済学者、政治家以外の人々が、少しずつ社会に向けて震災、原発事故後について語りはじめました。
語られていることは本音だと思います。
世界を股にかけて音楽活動をしている方なので、いざ音楽の話になると一点からぐいぐいと深い所に入り込み別の世界に引き込んでくれます。
大学時代にベースを初めたという点でも自分と共通するところもあり、勝手に親近感を持っています。
細野晴臣氏のおじいさんは、あのタイタニックの数少ない生存者の一人であったということはご存知ですか?
ミュージシャンという枠を超えた、エンタテインメントとも言えるような対談でした。
はっぴいえんどといえば、大瀧 詠一氏が去年亡くなりましたね。
音楽の世界もちょっと寂しくなりました。(院長)
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