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読書 396 海馬の尻尾 著者 萩原 浩
2021年08月07日 8:02 AM
「二度目の原発事故でどん底に落ちた社会。三年前の懲役を終えたばかりの及川頼也は、若頭に『アル中を治せ』と命じられ、とある大学病院の精神科を訪れる。検査によると、及川の脳には『良心がない』のだという。医者らを拒絶する及川だが、ウイリアムズ症候群の少女が懐くようになり・・・。人間の脳は変われるのか。ハードボイルドの筆致で描く、脳科学サスペンス!」
二度の原発事故?
この言葉で手に取り、読みました。
空気がまさにハードボイルドで、医療界の別の一面を描き出す。
最初の方は、表現がちょっと過激で、眉間に皺を寄せながらついて行きましたが、ウイリアムズ症候群の少女、梨帆の登場により、頼也に変化が訪れる。
恐怖という概念を持たず、相手の痛みを感じ取らない超越した行動をとっていたが、脳科学の治療(?)によって変わっていく頼也。
善と悪の概念が、場面ごとに、ころころと入れ替わる。
こうなると、何が正義なのか分からなくなってくる。
小説の話ですが、意外に知らないところで、日常的に展開されていることなのかも知れません。
約600ページというボリュームでしたが、一気に読み終わりました。
最後のシーンでは映画の「明日に向かって撃て!」を思い出しました。
とっても、とってもスピード感があり、終わりまで頭がフル回転の読書でした(院長)。
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