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読書 137 <食>は病んでいるか 揺らぐ生存の条件
2016年04月08日 6:50 PM
2003年5月に出版された本です。
大先輩の先生が送って下さった本の中の1冊です。
鷲田清一(大阪大学教授)、松井孝典(東大教授)、三國清三(オテル・ドゥ・ミクニオーナーシェフ)、大平健(聖路加国際病院精神科部長)、山極寿一(京大教授)、中沢新一(宗教学者)(いずれも、当時の肩書き)の6人が食について語っています。
栄養学的なアプローチではなく、文明、文化、経済、心理学、霊長類学などをバックボーンに「食」という言葉をキーワードに、今世の中でおきていること、これからおきるであろうことについて言及されています。
種の維持のための”性”、個体維持のための”食”。
いわゆる本能と呼ばれているものですが、現代の人間においては、他の動物と違って食い違いがおきているようです。
生きるために「食う」という意味合いよりも、おいしい物を求めて「食べる」ことにかなりウェイトが置かれ、「意欲」ではなく「欲望」を満たすツールとして存在している現代の食性、食文化。
高級品は、極力手を加えない”生”のものと、フォアグラ、霜降り肉のような”病気”を食べるという二極化した価値観が生まれているという言葉が衝撃的でした。
狂牛病の問題、ウイルスによる食中毒など、食の安全についても言及されています。
この大きなうねりは、情報を提供したからといって変化が求められるものではないでしょう。
”食べる”ということを、動物の原点に戻って考えていく必要がありそうです。(院長)
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