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読書 165 ジャコ・パストリアスの肖像 著者 ビル・ミルコウスキー
2016年08月24日 11:49 AM
自他ともに認める超天才ベーシスト、ジャコ・パストリアスの生涯について書かれた本です。
父親の影響でドラムを叩いていたが、フットボールの試合で骨折したことにより、エレキベースに転向。
そこから、彼の栄光と苦悩がスタートします。
フェンダージャズベースのフレットを抜いてフレットレスベースに改造し、ハーモニクスを駆使し、超高速でフレーズを正確に刻む。
最初に出したソロアルバムで、一気にエレキベースの既成概念を崩し世界のベーシストに衝撃を与えました。
テクニックだけではなく、作曲に関しても素晴らしい才能を見せ、多くの名曲を残しました。
ウエザーリポート加入後も、その勢いは止まらず、観客層まで変えてしまう程の影響を与えました。
マーケット的にも大成功を収め、世界を舞台にツアーを敢行。
しかしその影では、アルコールとドラッグによってすべてが蝕まれていく。
様々なベーシストが彼の作り上げたテクニックを身につけていく事によって、精神的に追い込まれた部分もあるようです。
それ以外にも多々、理由はあるのでしょうが、最後には、ステージに立つ事すらも拒否されるという、彼にとっては戻ることが出来ないところまで追い込まれ、ついにライブハウスのガードマンから暴行を受けて亡くなってしまいました。
学生時代にジャコ・パストリアス ビッグバンドを聴きに行ったことがあります。
その頃既に、奇行について雑誌で読んでいましたが、まさかそこまでとは思わず、亡くなった記事を読んだ時にはあまりの驚きに言葉が出ませんでした。
ジョン・レノンの暗殺の時と同じ位の衝撃でした。
天才であるがゆえに抱えた苦悩。
チャーリ・パーカー、ジミ・ヘンドリックス、ジム・モリソンらと同じく若くして人生に終わりを告げたのです。
しかし、残された軌跡は、音楽の歴史の中にしっかりと刻まれています。
「ティーン タウン」「Three Views of a Secret」「おまえのしるし」「チキン」「バードランド」など、素晴らしい名曲の数々。
アルバム「ワード オブ マウス」はジャケットも含めアルバム全体で一つの芸術作品だと思っています。
今でも、ジャコの曲を聴いてベースに目覚める若い世代の人たちがいるようです。
彼の作り上げた世界は、音楽の歴史を変えました。
人々の心の中で永遠に生き続けるジャコ。
単行本で一度読んでいますが、文庫本になりあらためて読み、ますます彼の人間としての魅力を再認識しました。
純粋な心を持った愛すべき人です。(院長)
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