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読書 76 神々の山巓 著者 夢枕 獏
2015年07月20日 7:00 AM
いわゆる山岳小説というジャンルの本を初めて読みました。
以前、妻がはまっていた時期があり、どんな感じかな?と思い手にしたのですが、読み出したら止まらなくなり、約1000ページを一気に読破しました。
書店でも入口近くにずっと平積みで置いてあった理由が分かりました。
主人公がカトマンドゥで古いコダックのカメラを手に入れることからストーリーは展開していきます。
これが、登山家マロリーの物であるかどうか、それによってエベレスト初登頂の歴史が変わるかもしれないというロマンを追い求めているうちに、主人公、深町は伝説の登山家、羽生 丈二に出会います。
そこからつながっていく人間関係の中で、なぜ命をかけて山を登るのかという永遠のテーマーに直面していきます。
「そこに、山があるから」という有名な言葉がありますが、この小説の中にあった「山に登るというのは、自分の内部に眠っている鉱脈を捜しにいく行為なのかもしれない。あれは、自分の内部への旅なのだ。」の言葉に触れた瞬間に、それ以外の言葉が思いつかなくなりました。
以前、コミックで「岳」シリーズを読んだ時から引きずっていた疑問の答えが、3年の月日を経て、ようやくクリアになりつつあるような気がしています。
トレイルランの大会で山の中を走っていると、時々、前後に人が見えなくなり、自分のたどっているコースが正しいのかどうか分からなくなり不安になることがあります。
そんな中でも山のアップダウンを前進していくと、何か、自分が試されているような不思議な感覚が芽生えることがあります。
肉体的にも精神的にもきついポイントでは「なんでこんな思いをしてまで山の中を走っているんだろう?」という疑問が湧いてくることも多々あります。
でも、ゴールすると、すでに次のレースのことが頭の中をよぎっています。
参加している選手はみんな、それぞれのテーマーに向かって一歩ずつ山に歩みを刻んでいるのでしょう。
レベルは全く違いますが、過酷な山岳に挑み続けるクライマーの気持ちが理解出来るような気がしています。
日常と非日常の間を行き来することによって何か見えてくるものがあるのかも知れません。
今、本や山から沢山のことを教わっています。
一文字、一歩ずつ積み重ねながらもう少し自分と対話してみます。(院長)
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