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読書 245 真剣師 著者 団 鬼六
2017年09月14日 7:27 AM
「就いた職業は無数、人妻との駆け落ちは三回。寸借詐欺騒動を起こし、新聞沙汰にもなった。逃亡と放浪を繰り返したが、将棋だけには破格の才能を持っていた男・小池重明。プロ棋士を次々となぎ倒し、新宿の殺し屋と呼ばれた伝説の将棋ギャンブラーが、闇の世界で繰り広げられた戦いと破滅の軌跡を描く傑作長編。話題のベストセラー待望の文庫化。」
1995年に発表された作品。
14歳の天才、藤井四段による将棋ブームに乗り、新聞で紹介されていたので、早速購入。
著者の名前を見て、どんな内容なのか考えてしまいましたが、この手の本を読むと、いつも「才能って何だろう?」と思います。
音楽や美術の世界でも、社会的には破綻しているが、とてつもない感動を呼ぶ作品を発表している人物がいます。
何が私たちの琴線に触れるのでしょうか。
何となく分かるような気もしますが、なかなか結論が出ません。
「感性」の一言では片付けられない何かがあるんでしょう。
そこを、解説で大沢在昌氏がとても的確に表現しています。
「世の中には、自分にその方面の才能があるとはまったく知らず、まるで畑ちがいの分野で、さほどの業績を上げることこともなく人生を終えている人が実はたくさんいるのではないか。いつも頭の片隅にある疑問であった。それが、本書を読んで大きく吹っ切れた。ひとつの方面に、並外れた才能を持つ人間は、結局は本人の意思とはかかわりなく、その世界で頭角を現していくことになる。しかも、それは本人の幸、不幸とはまるで別次元である、とつくづく知らされたからだ。小池重明という人は、たぶん自分の生き方を『壮絶』ととらえたことはなかったのではないか。『壮絶』にしたのは、この人の才能を知り、その行く末を見届けたいと願った周囲の人々ではなかったか。」
ベーシストのジャコ・パストリアス、クライマーの森田勝に同じ臭いを感じます。
44年の生涯で残したもの、あるいは残ったものの軌跡を辿る、周囲の人々の中の一人として感慨深いものを感じています。(院長)
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