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読書 389 「顔」の進化 あなたの顔はどこからきたのか 著者 馬場 悠
2021年05月20日 4:46 PM
太古の生物の前端に、餌を効率よく食べるために「口」ができたとき、顔の歴史は幕を開けた。やがて「眼」「鼻」「耳」などの器官が集中した顔は、情報を受信するだけではなく、みずから発信もする、「見られるもの」へと進化した。顔は静的な部位ではなく、つねに情報とエネルギーが出入りしつづける場所なのだ。あなたの顔に刻まれている、そうした進化の意味を知れば、自分の顔をもっと慈しめるようになるかもしれない。
1999年に大顔展が開催され、足を運んだことがありました。
生物学的、文化的なアプローチから顔を捉え、当然、歯科的な観点での展示、発表も多々、見受けられました。
機会がある度に思い出していたのですが、今年の1月にこの本が出版され、あらためて、顔について見つめなおそうと読んでみました。
顔を捉える時に、最初にスポットがあてられていたのが口。
生物が生きていくためのエネルギー摂取の場として最初に発生する器官であり、当然のことかも知れません。
そこから、動物、霊長類と追いかけ、私たちの祖先となる類人猿にたどりつく。
二足歩行となって手が自由になり、道具を使うようになってから劇的に変化を遂げた人類。
700万~600万年前にアフリカで誕生した「初期猿人」、400万年前に出現した「猿人」、200万年前にアフリカに現われた「原人」、70万年前に出現した「旧人」、そして、20万年前に誕生した「「新人」(ホモ・サピエンス)。
顔という、トータルイメージの変化は、食べ物とそれに伴う噛む力の変遷による骨格の変化がかなりの影響を及ぼしています。
頭蓋骨、顎骨の厚み、形態が食性によって、どんどん変わっています。
自分たちが関わっている口腔という分野の奥の深さを実感しました。
別の本の話になりますが、「人間は、言語を獲得した事により、誤嚥のリスクが発生した」という内容を読んだ事がありました。
複雑な言語を構築するためには、声帯の位置が他の動物よりも下方に位置し共鳴腔を広げる構造に変化したことが原因ということでした。
うまく理解できていなかったのですが、ある研修会で、「嚥下時には声帯も閉鎖する」という事を知り、長年疑問に思っていたことが、霧が晴れるようにクリアになったことがありました。
プリマ音楽教室で発声の解剖学的な理論を教わると、過去に自分で考えていた事とリンクすることがあり、驚きを覚えることがあります。
興味は尽きません。
目の前に現存するサルの世界から自分たち人間の成り立ちを類推することを思い立ち、サルに関する本をたくさん読み始まったことから脈々と続いている、ヒトに対する考察。
この本は、今まで自分で考えていたことの集大成となるようなものでした。
あとがきでは「人類は歯でほろびる」という言葉が出てきます。
歯科に携わっている者としては、」ぜひ読んで欲しい本でした。
顔学会にも入会し、テンションを上げています(院長)。
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