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読書 382 下山の哲学 著者 竹内 洋岳
2021年03月17日 4:16 PM
登るために下る。8000m峰登頂後の世界。「頂上は通過点にすぎない。そこから下ってきて完結するのが登山なのだ」。8000m峰14座すべての頂きに立った登山家は、どのように山を下ってきたか。
日本人初の8000m峰14座完全登頂に成功した著者が書いた本。
14サミッターと呼ぶことを知りました。
マカル―、エベレスト、K2、ナンガパルバット、アンナプルナ、ガッシャ―ブルムⅠ峰、シシャパンマ、カンチェンジュンガ、マナスル、ガッシャ―ブルムⅡ峰、ブロードピーク、ローツェ、チョ・オユー、ダウラギリの14峰を1995~2012年という歳月をかけて制覇しています。
無酸素という、過酷なトライアルであるにも関わらず、ある意味、喜びを覚えながら挑む姿には、自分とかけ離れたものを感じますが、とても共感できるものがあります。
登山に関しては、頂上に達したことがクローズアップされますが、実は、あまり伝えられてない下山にこそが、とても奥の深い世界がある事がわかりました。
「私がやってきた登山は、新しい登山の扉を開けるものではなく、開いたままになっていた古い扉を閉めるものでした。そして、つぎの人が新しい扉を開けられるようにすることが自分の役割だと思っています。どんな扉を開けるかは人それぞれです。」という言葉があります。
滑落も経験し、再起不能かと思われるような大けがをしたのにも関わらず、蘇り14サミッターとなった人が言った言葉だから感じる重みが伝わってきます。
「己にとっての未踏峰、、未踏の地を見つけて、そこに到達する。その先に新たな自分にとっての未踏峰を見つけ出していく。そんな連鎖に身を置きたいと思っています。」
なかなか言える言葉ではありません。
私たちが見たことがない世界を見ているんですね。
コロナの影響でこの1年間、山を走るトレイルランの大会に参加出来ず、もう、走ることはないのかなと思っていましたが、いずれ落ち着いたら、また少しづつ体を整え、山に足を踏み入れようという気持ちが湧き上がってきました。
“その時、その時の自分を見つめ、ほんのちょっと背伸びをしながらも前に進んで行こう。”そんな気持ちにさせてくれる本でした。
竹内さん、ありがとう(院長)。
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