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読書 262 分水嶺 著者 笹本 稜平
2018年02月19日 11:35 AM
「急逝した父の遺志を継ぎ、山岳写真家として生きることを誓う風間健介。父の愛した厳冬の大雪山で撮影中、絶滅したはずのオオカミに命を救われたという田沢保と出会う。風間は、田沢が亡き父と交流があったこと、殺人罪で服役していたことを知るが、極寒の中、田沢と共にオオカミを探すにつれ、彼の人間性に惹かれていく。やがて、二人の真摯な魂が奇跡を呼ぶ。」
「分水嶺」という言葉が以前から好きで、タイトルで買いました。
昨年末、羽田空港から、とかち帯広空港経由で父の葬儀に行ってきたのですが、飛行機の中で読んでいる時に、ちょうど小説の中では逆のルート、とかち帯広空港から羽田空港に向かい、浜松町から事務所に戻る場面になり、頭の中がちょっと混乱しながらもストーリーを追っていきました。
文明を使い、人間の都合で地球を制圧、コントロールしているような気になっているが、自然は本来、お互いがうまくバランスをとれるように寄り添ってくれていることを再確認させられました。
家畜を襲うということで、薬物を使って絶滅させられたオオカミ。
牙を剥き襲い掛かるような目つきに意図的に作成させられた剥製をみると、とても狂暴な生き物のように思ってしまいますが、本来、愛情をもって子育てするとてもやさしい生き物です。
アイヌの人たちも、オオカミとの共存の中で生活していました。
アメリカでも、オオカミとインディアンは共存していたようですが、同じような流れで追いやられています。
心が痛みます。
警察と地元有力者との癒着によって破壊されていくありのままの自然を出来るだけ守っていくエネルギーが、風間健介を中心に、父、田沢保、オオカミとの関わり合いを通して描かれています。
じわじわと感動が沸き起こるすばらしい作品です。(院長)
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