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読書 351 天災と国防 著者 寺田 寅彦

2020年05月30日 1:02 PM

DSC_1333コピー『表題作「天災と国防」ほか、自らの関東大震災経験を綴った「震災日記より」、デマに「対する考察「流言蜚語」など、地震・津波・火災・噴火などについての論考やエッセイ全十二編を収録。平時における備えと災害教育の必要性など、物理学者にして名随筆家ならではの議論はいまだに有効である。天災について再考するための必読者。(解説・畑村洋太郎)」

 

新聞で紹介されていたものです。

災害に対する考え方、心構えについて12のエッセイが掲載されています。

東日本大震災はもちろん、今回の新型コロナウイルスに対してどのように対応していけばいいのか、頭の中が、ずいぶん整理されてきました。

筆者は1878年生まれで、関東大震災を経験しています。

東京帝国大理科大学実験物理学科卒業の科学者ですが、経験に基づく災害対応法が適切な内容で書かれています。

科学的なこと、人間の心理を踏まえた取り組みなど、非常に現実的なことが語られています。

解説も非常に興味深く、解説の域を超えた素晴らしいものでした。

解説は2011年5月に書かれています。

当然、福島第一原発事故についても触れられています。

これからは、子どもたちに「安全教育」ではなく「危険教育」という提言が心に焼き付きました。

結局災害に対しては、マニュアルではなく、危険性を判断し、個別に対応できる能力が必要なんですね(院長)。

 

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読書 350 猫を棄てる 父親について語るとき 著者 村上 春樹

2020年05月21日 9:23 AM

DSC_1332「ある夏の日、僕は父親と一緒に猫を海岸に棄てに行った。歴史は過去のものではない。このことはいつか書かなくてはと、長い間思っていた。」

~時が忘れさせるものがあり、そして時が呼び起こすものがある~

 

村上春樹氏の家族を題材にしたエッセイです。

以前「ねじまき鳥クロニクル」を読んだ時に、父親の戦争体験の影響が文章に現われている事を感じていましたが、それを裏付けるものが表現されています。

多くを語らなかった父の体験について、心の中で納めておくことが出来なくなってきたのでしょう。

自分自身の存在について考え、世の中の流れの偶然、あるいは必然性について考える。

父親が戦場で命を落としていたら・・・母と出会わなかったら・・・。

現に、今、自分はここにいる。

理由などはない。

世の中に生を受ける原点を考えさせられました。

100ページの、美しいイラストが添えられた本でしたが、心の中に沁み込んでくるものがありました。

彼の作品は、様々な歴史を背景にして生まれていたんですね(院長)。

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ゴールデンウイーク

2020年05月11日 1:29 PM

コピーDSC_1345[1191]連休中は自粛ということで、ランニングもせず、ほとんど家の中で過ごしました。

こうなると、自分はどういう行動をとるのだろうと非常に興味があったのですが、結局いつもの様に、読書、ベースの練習、作曲をメインとした生活となりました。

ベースは新たなソロベースの曲にトライ。

「Sweet Memories」「島唄」の2曲が新たなレパートリーとなりました。

作曲では仕上げ磨きの曲を作り、妻に指摘されたところを修正し、ほぼ完成。

自分で歌っているのですが、女性の声だったらもっといい感じになりそうだなと思いつつ、それなりに満足しています。

ちょっと歌詞を変えると手洗い用の曲にもなり、なかなかの優れもの。

いずれ、来院されたお子さん用にお渡しすることを考えています。

 

連休明けに診療のためにユニホームを着たのですが、なんと、お腹周りのボタンが、閉まらない・・・!

たった1週間での変化です。

籠って、食べて、飲んで、寝る、の結果がはっきりと出てきました。

体は正直です。

家に帰って、恐る恐る体重計に乗ってみましたが、普段とあまり変わらず。

筋肉が、みごとにぜい肉に置き換わったんですね。

山の中を駆け巡っていた自分はどこへ行ってしまったのでしょう。

状況がおちついたら、少しずつ節制して戻していきます。

体というものは、一度甘えると、なかなか戻せなくなるものであるということを痛感しています(院長)。

 

 

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読書 349 復活の日 著者 小松 左京

2020年05月08日 9:43 AM

DSC_1344コピー「吹雪のアルプス山中で遭難機が発見された。傍らには引き裂かれたジュラルミン製トランクの破片。中には、感染後70時間以内に70%に急性心筋梗塞を弾き起こし、残りも全身マヒで死に至らしめるMM菌があった。春になり雪が解け始めると、ヨーロッパを走行中の俳優が心臓麻痺で突然死するなど、各地で奇妙な死亡事故が報告され始める。

人類滅亡の日を目前に、残された人間が選択する道とは。著者渾身のSF長編。」

 

1964年に出版された作品。

核兵器に代わるものとして開発されたウイルス。

世界へ蔓延するが、原因が分からないまま被害は急速に拡大していく。

唯一、南極で活動していた各国の研究者たちが、感染から隔離された状態でたまたま情報を得て生存していく。

その数たった1万人。

ウイルスの恐ろしさと、それにも増して恐ろしい人間の中に潜む欲望。

今回のコロナウイルスによる世界の状況を予見するような内容が多々、見受けられます。

何に対して、どう対処し、何処へ行きつくのか。

そして、何れまた繰り返されるのか。

1975年に草刈正雄主演で映画化されています。

エンディングに近いシーンだけが、記憶にありました。

著者は、「日本沈没」も書いています。

こちらは、中学生の時に映画で見ていました。

著者は2011年7月、東日本大震災の後に亡くなっています。

2作品とも、現代を予言しているようなストーリーでした。

SFはフィクションと言えど、侮れません(院長)。

 

 

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読書 348 パプリカ 著者 筒井 康隆

2020年05月05日 5:57 PM

パプリカ昨年の大ヒットソング「パプリカ」を検索していたら、たまたま、この作品に出合いました。

大学時代に、夏休みに文庫本を買いためて、筒井康隆作品を読みあさっていたことがありました。

最近も、機会を見つけては筒井康隆ワールドに触れています。

 

精神疾患の治療のために開発された機器を巡って、関係者の心が入り乱れていくストーリー。

利権、名誉のために利用されて、予期せぬ事態に陥ってしまう。

開発者の想いとはかけ離れた使用法によって世界が変貌していく。

そのエネルギーは人間の心の中にあるという、考えたくはないが現実を暴き出しているような、そんなお話です。

この時期に読むと、「SFの虚構の世界だから・・・。」と軽く受け流すことが出来ないでいます。

タイミングが良かったのか、悪かったのか。

気持ちのリセットに時間がかかりそうです。

相変わらず、壮大な世界にどっぷりと浸かりました(院長)。

 

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読書 347 コロナの時代の僕ら 著者 パオロ・ジョルダーノ

2020年05月04日 5:31 PM

僕らコロナの時代の僕ら「何を守り、何を捨て、僕らはどう生きていくべきか。2020年春、ローマにて。非常事態下で綴られたイタリア人作家の叫び。今読むべき傑作エッセイ」

と紹介されています。

著者は素粒子物理学を専攻している学者。

数々の文学賞を受賞しています。

新型コロナウイルスと、どう向き合っていくか。

エッセイではあるが、事実を見据えた上で、現実を見せつけてくれます。

あとがきの「コロナウイルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと」では

「緊急事態に苦しみながらも僕らは(それだけでも、数字に証言、ツイートに法令、とてつもない恐怖で、十分に頭がいっぱいだが)今までとは違った思考をしてみるための空間を確保しなくてはいけない。30日前であったならば、そのあまりの素朴さに僕らも苦笑していたであろう、壮大な問いの数々を今、あえてするために。たとえばこんな問いだ。すべてが終わった時、本当に僕たちは以前とまったく同じ世界を再現したいのだろうか。」

と書かれています。

あらゆる点で、福島第一原発事故との共通点を感じるのは私だけでしょうか。

これから、どう考え、どう生きていくか。

今後、既成概念は通用しなくなっていくのかも知れません。

軸足をしっかりさせて、今回も、じっくりと取り組んでいかなければいけませんね(院長)。

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