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読書 353 人類対新型ウイルス 著者 トム・クイン

2020年06月30日 10:48 AM

新型コロナウイルス「新型コロナウイルのワクチン、特効薬の研究開発はどこまで進んだか。ウイルスとの壮絶な闘争史から学べることは。1世紀前のスペイン風邪は、死者5,000万人以上とも。英国人ジャーナリストが人類と感染症の歴史を掘り下げ、いますべき対処法を提示。また、新型コロナのパンデミックは今後どのような展開をみせるか、専門家の最新知見も豊富に収録。」

 

豚インフルエンザがパンデミック化し若者を中心に犠牲者を出した直後の2010年に書かれています。

古代~17世紀のインフルエンザ、18世紀のパンデミック、19世紀のパンデミック、そして1918年のスペイン風邪。

スペイン風邪では、当時の世界の人口10億人において5,000万人の死者ですから、相当な割合で亡くなっています。

第一次世界大戦による死者をはるかに上まっています。

1957年のアジア風邪、1968年の香港風邪と、人類はウイルスとのせめぎ合いを続けています。

電子顕微鏡により実態が捉えられたのはつい最近のことで、さらに、ゲノム解析などによって、より詳細な実態がつかめられるようになっています。

しかし、刻々と変異するという特徴によって、ワクチン、治療薬の開発が追い付かないのが現状です。

開発による秘境への進出によって生じた今までに接したことのない生き物との接触、世界的な人間の移動による感染拡大のスピードアップ、人口密度の増加、定住など、ウイルスにとっては好条件が揃っている現代社会。

撲滅は不可能な中、どのように付き合っていくか。

本書では、補章として「新型コロナウイルスに立ち向かう」が加えられています。

「迅速診断法の実用化、効果的な治療法の確保、抗体保有状況の適時的な調査など、なりふり構わず行って行くことが求められている」と語られ、また、「科学の成果に期待しつつ、公衆衛生の原点に立ち返らなくてはならない」とも言われています。

「一人ひとりが社会全体としての健康を維持するように努める。それこそは、誰もが今すぐできることだ。」という言葉が心に残りました(院長)。

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