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読書 370 漂流 著者 吉村 昭

2020年11月24日 10:46 AM

漂流「江戸・天明年間、シケに遭って黒潮に乗ってしまった男たちは、不気味な沈黙をたもつ絶海の火山島に漂着した。水も沸かず、生活の手段とてない無人の島で、仲間の男たちは次々と倒れて行ったが、土佐の船乗り長平はただひとり生き残って、12年に及ぶ苦闘の末、ついに生還する。その生存の秘密と、壮絶な生きざまを巨細に描いて圧倒的感動を呼ぶ、長編ドキュメンタリー小説」

 

ロビンソン・クルーソーを読み、無人島漂着関連の他の本を探し、読んでみました。

こちらは、事実をもとに書かれたもの。

江戸時代の物流は、船による運搬がさかんに行われていたが、季節によってはかなり危険を伴うことと、幕府の政策に船の構造に制限があったことなどがあり、海難事故は多発していたようでした。

難破し無人島にたどり着き、12年間の無人島生活。

火山島という不毛の土地で、道具も何もないところから、アホウドリや海藻などを食料にして生活をする。

食事の偏りと気力の低下により体調を崩し、仲間が亡くなっていく。

数年後にあらたに漂着した人々との共同生活を、自らの経験を伝授しながら営む共同生活。

そんな中、漂着物から船を作ることを思いつき船作りに取り組む。

常に、希望を抱く事の必要性を胸に、ついに船が完成。

人が住む島にたどり着き、本州への帰還を果たす。

12年間、故郷へ戻る思いを失わずに、孤独と闘いながら生きる。

欲望を消し、意欲というエネルギーで邁進する姿には圧倒されます。

他との比較で運、不運を考えてしまうと不幸になってしまう。

自分との戦いに負けなかった人に与えられた、帰還というご褒美。

読むのにエネルギーを要しながらも、力をもらう本でした(院長)。

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読書 369 ロビンソン・クルーソー 著者 ダニエル・デフォー

2020年11月20日 1:09 PM

ロビンソン クルーソー「1632年、英国に生まれた船乗りロビンソンは、難破して絶海の孤島に漂着した。ここから28年に及ぶ無人島生活が始まった。不屈の精神で鳥や亀を獲り、野生の山羊を飼いならしてバターやチーズを作り、パンまでこしらえてしまう。ところが驚天動地の事態が・・・。めげない男ロビンソンを通して人間の真の強さを描き、世界中に勇気と感動を与えてきた、冒険小説の金字塔。待望の新訳。」

 

2019年に新訳された作品。

今まで、冒険小説として、十五少年漂流記、宝島、海底二万里など色々と読んできましたが、また一味違った面白さを堪能しました。

名著として読み継がれている理由がわかります。

親の反対を押し切って船乗りとなったが、そこが運命の始まり。

難破し孤島での生活がスタートします。

手元にはほとんど何もない状態だったが、座礁した船から物資を運びだし、生活の拠点を作る。

野生の生き物を巧みに利用し、共存生活を営んでいく生命力にぐいぐいと引き込まれていきます。

蛮人との遭遇など、様々な難関を乗り越え島からの脱出を図る。

もともとは、生活力の欠如した主人公が、孤島で28年間生活を送る力を身に着けていく。

宗教的にも開眼していく様は、教えられるものがありました。

自分との戦いを克服していく、世界一めげない男、ロビンソン。

現在の閉塞した社会において、夢と勇気と感動を与えてくれます。

このタイミングで読むことが出来た事の喜びを味わっています。

名著は、時代が変わっても名著として息づいているんですね(院長)。

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読書 368 人類と気候の10万年史 著者 中川 毅

2020年11月12日 4:59 PM

人類と気候の10万年史 コピー「現代とはまるで似ていない気候激変の時代を生き延びてきた人類。

 福井県の水月湖に堆積する「年縞」。何万年もの前の出来事を年輪のように1年刻みで記録し、現在、年代測定の世界標準となっている。その年縞が明らかにしたのが、現代の温暖化を遥かにしのぐ「激変する気候」だった。過去の精密な記録から気候変動のメカニズムに迫り、人類史のスケールで現代を見つめなおす。」

 

“著者は古気候学、地質年代学を専攻し、趣味はオリジナル実験機器の発明という根っからの科学者。

年縞堆積物の花粉分析を通して、過去の気候変動の「タイミング」と「スピード」を解明することを目指している。”と紹介されています。

過去の堆積物が奇跡的に保存されていた水月湖の年縞を分析し、地球の気候を類推していくわけですが、気の遠くなるような時間を要する地道な作業で、過去を解明していきます。

以前、霊長類の研究に興味があり、サルの本ばかり読んでいた時期がありましたが、その時のわくわく感が蘇ってきます。

この研究により、現在の気候変動のサイクルが、この15万年の中でもちょっと異例の変化が出ていることが分かってきたようです。

狩猟採取生活が農耕牧畜に移行した、というか、出来た理由も繙かれています。

地球の自転軸、公転軌道の変化も気候に影響するミランコビッチサイクル。

気持ちは天空まで昇り、思想が地球に再度、降臨する、とても壮大なロマンの中で展開される物語。

45億年の地球の歴史の中の、この数万年において、ホモサピエンスは何をしでかしているのでしょう?

色々な事を見つめなおす事が必要な時期にあるのかも知れませんね(院長)。

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ベース弾き語り

2020年11月04日 12:47 PM

ベース弾き語り新型コロナウイルス感染の状況が落ち着かない中、皆さんはどのようにお過ごしでしょうか。

私の場合、以前は休みの日になるとランニングの大会に参加したり、長距離ランにトライしたりしていましたが、この状況では大会も開催されず走るモチベーションも低下し、家で過ごすことが増えてきました。

曲を作ったり、本を読んだりと、まったりと過ごすわけですが、最近、ベースを弾く時間が大分増えてきました。

朝食を終えると部屋に籠って、以前購入していた教則本を引っ張り出し、昼食も摂らずにひたすら弾き続けています。

今、練習している曲は、「ベース弾き語り曲集」にある、スピッツの「空も飛べるはず」。

ベースで和音を奏で一緒に歌うという、一人で完結してしまうという素敵な世界。

演奏だけのソロベースとはまた一味違った面白さを体感しています。

並行して、「となりのトトロ」「君をのせて」など、ジブリの曲を練習したり、クラシックの曲を弾いてみたりと、あっという間に1日が終わってしまいます。

部屋にこもって弾く、まさに「弾きこもり」状態。

レパートリーも増えてきました。

和音を考えていると、ポジションの音も自然に身に付く、一石二鳥のエクササイズ。

本のタイトルに「きっと誰かに聴かせたくなる」とありますが、確かに、曲をマスターし誰かに聴いてもらう事を夢見ています。

4弦から繰り出される魅惑の曲集。

益々、ベースが楽しくなってきました(院長)。

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読書 367 分福茶釜 著者 細野 晴臣

2020年10月16日 8:17 AM

分福茶釜 写真「世間のこと、世界のこと、老いること、祈ること、そしてよりよく生きること。

日本の音楽シーンを牽引してきた音楽家・細野晴臣が、20年来の仲間・鈴木惣一朗を聞き手に、大事なことを「小声」で語った人生問答。老若男女を問わず、すべての人に「福」を「分」けてくれる、80講。」

 

はっぴいえんど、YMOと、常に日本の、時には世界の音楽界をリードしてきた音楽家が語る人生。

淡々と語られていますが、とても深~いお話が満載されています。

この方も、ベーシスト。

音楽を低音で支える人は何かが違います。

祖父はタイタニック号の数少ない生還者の一人。

これだけでも凡人との違いは明らかです。

地球にたゆたって生きる。

全ては、自分ではコントロールできない大きな流れの中で生きているという事を再認識させられました。

人間以外の生き物の姿から自分たちを振り返り、地球上で生きていく上での礼儀を考えさせられた本でした(院長)。

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読書 366 だめだこりゃ 著者 いかりや長介

2020年10月15日 12:20 PM

だめだこりゃ「音楽は四流、笑いは素人。でも、それがドリフターズだった。東京の下町に生まれ、米軍キャンプやジャズ喫茶でのバンドマン生活を経て、ドリフターズに加わったいきさつ。最長不倒のお化け番組「全員集合」の陰でネタ作りに追われた日々と、メンバーの知られざる素顔。そして、俳優に転身してから「踊る大走査線」の大ヒットまで。豪快半生と秘話の数々を綴る、いかりや長介自伝。」

 

子どもの頃は、土曜日の8時になるとテレビの前に陣取り「8時だよ!全員集合!」を見ていました。

家族全員で大笑いし、翌日学校へ行くと番組の話題で盛り上がっていました。

あの偉大なドリフターズの知られざる世界が、いかりや長介さんの文章で描かれています。

一見寄せ集めのようなメンバーですが、リーダーの手腕により日本中を笑いに包み込むグループへと持ち上げたわけです。

長さんもベーシストだったので、ベースの雑誌では何度かインタビューを読んだ事がありました。

伝説の「いかりや奏法」やビートルズの前座など、音楽の面でも見逃せません。

個性をまとめながら、時には番組スタッフとぶつかりながらも妥協を許さず、グループを引っ張っていたんですね。

全員集合が終わってからは俳優へ転身。

演技は素人といっても、日本中を笑わせることが出来た人ですから、やはり他の人とは比較の出来ない味わいを表現し、名優として活躍されていました。

背景を知り、益々、いかりや長介という人物への敬愛の念が沸いています。

ドリフで育った年代の方々には、是非読んでもらいたい自伝でした(院長)。

 

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読書 365 ヨッパ谷への降下 著者 筒井 康隆

2020年10月12日 10:15 AM

よっぱ谷コピー「見知らぬ夜の街で、若い裸の美女に導かれて奇妙な洞窟の温泉を滑り落ちる「エロチック街道」。九度死んで生きる虫の、いや増す死の恐怖を描いた「九死虫」。海の中に建つ巨大な家で、水浸しの縁側を少年が漂流する「家」。乳白色に厚く張りめぐらされたヨッパグモの巣を降下する幻想的な川端康成文学賞受賞作「ヨッパ谷への降下」ほか、夢幻の異空間へ読者を誘う魔術的傑作12編。」

 

筒井康隆作品。

探すと、まだ読んでいない本がたくさん出てきます。

どれを読んでも、新鮮な気持ちで世界に浸る事が出来ます。

今回はファンタジー傑作選ということで、何処へ連れて行ってくれるのかなとワクワクしながら読みました。

期待通りです。

大人のファンタジーといったところでしょうか。

以前、「ショートショートを書くのと、一遍の小説を書くのでは、使うエネルギーは同じ」と筒井康隆氏が書かれていたことがありました。

アイディアを絞り出す作業の過酷さは、私たちには想像も出来ません。

そんな中で、12編もの傑作を一つの本にまとめることが出来るのですから、別格な存在ですね。

他も探して読んでみます(院長)。

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読書 364 「健康」から生活をまもる 著者 大脇 幸志郎

2020年10月10日 1:00 PM

健康から生活をまもる 「この本には“医療が命を救う”みたいなこととは対極の愛がある。健康に対する不真面目さこそが必要とされるいま、読むべき一冊だ」

 

帯タイトルの言葉です。

医療に携わり、日々、「健康」な状態を目指した取り組みを行っているわけですが、タイトルが妙に気になり読んでみました。

著者は現役の医師。

年齢も30代後半という若手の方です。

実は、以前から、健康という言葉の定義には疑問を持っていました。

WHOは健康を

“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”

と定義しています。

「健康とは、病気でないとか、弱っていないということだけではなく、肉体的にも精神的にも、そして社会的にも満たされた状態」と言っているんですね。

さて、この定義を考えると、世の中には、どれだけ健康な人が存在するのでしょうか。

この本には、「健康」という言葉の呪縛から解放されるためにはどうすればよいかという事がかかれているように感じました。

健康を考え過ぎて病んでしまうとか、制限をかけすぎて自由を失うとか、本末転倒にならないためのアドバイスと言ったらいいのでしょうか。

健康に関する情報も、数カ月前に体にいいといわれていたことが、ブームが去るとあっという間に忘れ去られてしまいます。

常に追い続けるのは大変ですよね。

程々に生きる。

人間以外の生き物のほとんどは、将来の事よりも今を精一杯生きることを考えて生活しています。

将来に対する憂いなどはないでしょう。

学ぶことは沢山あります。

「健康」という言葉を聞いて描くイメージは、人それぞれ違うでしょう。

あまり情報には左右されずに、そして画一的な目標に惑わされない生き方が出来ればいいなと個人的には考えています。

誰にでもやってくる老化現象を受け入れながら、年齢相応に生きることが出来ればいいですね。

病は気から。

おっ、だから病気か!

今、気が付きました。

同じ状態でも、考え方ひとつで健康にも病気にもなってしまいます。

「健康」という言葉の意味する事を考える時間を与えてくれる本でした(院長)。

 

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ランニング

2020年10月06日 5:54 PM

シューズ コピーランニングを再開しました。

実に7カ月ぶり!

コロナの事もあり自粛しているうちに、いつの間にか部屋に籠る生活となっていました。

100キロ走っていたり、トレイルランで山を駆け回っていた自分が想像できません。

身体を慣らすために2~3キロ走る予定だったのですが、いざ動いてみると久々の汗がとても心地よく、取り敢えず7キロ走って家に戻りました。

ぼてぼての体がとても重く感じ足取りも重いランでしたが、自分を取り戻した爽快感が何とも言えず、心地よい時間を味わいました。

走れない時期は作曲に専念し、オリジナル曲も8曲出来上がり、それはそれで悪くない生活でしたが、やはり私にとってランは、自分を整えるためには不可欠なものであることを実感しています。

少しずつ体を戻し、またいつか大会が再開されたら、トレイルランにトライしたいと思います。

身体は、物事の基本ですね(院長)。

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読書 363 ヤクザときどきピアノ 著者 鈴木 智彦

2020年10月05日 5:08 PM

やくざ コピー「曲が進むと身体全体が鍵盤の右端、高音部分に寄っていき、まるでキリで突くように鋭く鍵盤を叩いた。強い連打に移行した刹那、衝撃波が俺の頭を横殴りにし、火薬がはじけ、突き飛ばされるような感覚があった。三十年前、ロサンゼルスで経験した光景がまざまざと蘇った。」

 

アバのダンシングクイーンが弾きたくて、譜面の読み方も知らない52歳がピアノ教室に!

「サカナとヤクザ」「ヤクザと原発」など、潜入ルポで知られるライターがピアノに挑戦します。

自分がボイストレーニングにトライした時のメンタリティーや状況が脳裏をよぎり、とても他人事とは思えませんでした。

とにかく、1曲が弾けるようになりたい。

52年という人生経験の中で培った情熱を思いっきりピアノにぶつける姿は、どこか、神々しさを感じさせます。

「練習をすれば上手くなる。練習をしなければ一切上達しない。やればできる。やらねばできない。そして、練習をしない言い訳にはなんの意味もない。」

響く言葉です。

気持ちがわかりすぎて、一緒にレッスンを受けているような気になってしまいました。

そのまんまなんです。

譜面が読めず、クラシック音楽なんて意識して聴いた事はほとんどなく、ただ、自分で作った歌を上手く歌いたい、それだけの思いでボイストレーニング教室に突入した自分と思いっきり重なります。

先生が藝大声楽科出身ということもあり、いつの間にかオペラのアリアをレッスンで歌っている自分。

あれよあれよという間に、教室の発表会のステージに立っていた自分。

クラシックの世界に浸り始めた自分。

そして、勘違いしてその気になっている自分。

あ~、なんでこんなに目出たいんでしょう。

自分を知らない強み、年を重ねた強み、人目が気にならない強みは最強です。

本の最後の部分では、ちょっとほろりとくる場面も。

しみじみと味わいました(院長)。

 

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